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高野は憮然と顔を背ける。
歴史を書き換えるためには、どうしてもその時代の人間、実力者の協力が不可欠だ。
知識があっても、実行に移すことができなければ、それは無能に等しいからだ。
だから、今は権力者である草鹿の言うことに従う事が一番の得策だろう。
高野は、その場に居合わせている誰にもバレないように、奥歯を噛みしめた。
「分かりました。素性を明かしましょう」
高野は威圧感を与えるかのように目をむく。
そして、
「俺は、未来から来ました。この時代を、歴史を書き換える為に」
堂々と、胸を張って宣言した。
「証拠はあるのかね?」
草鹿は、高野の突飛な発言が信じられないような顔をする。
「証拠ですか。
この旅客機自体が、動かざる証拠ではないのですか?」
「むう、確かにそうかもしれないね」
草鹿は、もう一度目をそらして、機内の内装を観察する。
そして、この航空機は、日本だけではなく、世界のどの国の技術をもってしてでも作れない、との結論に至った。
・・・ふむ、ならば、確かに時空を超てきたのかもしれない。
そう仮説を立てれば、全てに合点が行く。
だとすれば、この少年は我々よりも未来から来た日本人と言うことになる。
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