第1章:邂逅

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高野は憮然と顔を背ける。 歴史を書き換えるためには、どうしてもその時代の人間、実力者の協力が不可欠だ。 知識があっても、実行に移すことができなければ、それは無能に等しいからだ。 だから、今は権力者である草鹿の言うことに従う事が一番の得策だろう。 高野は、その場に居合わせている誰にもバレないように、奥歯を噛みしめた。 「分かりました。素性を明かしましょう」 高野は威圧感を与えるかのように目をむく。 そして、 「俺は、未来から来ました。この時代を、歴史を書き換える為に」 堂々と、胸を張って宣言した。 「証拠はあるのかね?」 草鹿は、高野の突飛な発言が信じられないような顔をする。 「証拠ですか。 この旅客機自体が、動かざる証拠ではないのですか?」 「むう、確かにそうかもしれないね」 草鹿は、もう一度目をそらして、機内の内装を観察する。 そして、この航空機は、日本だけではなく、世界のどの国の技術をもってしてでも作れない、との結論に至った。 ・・・ふむ、ならば、確かに時空を超てきたのかもしれない。 そう仮説を立てれば、全てに合点が行く。 だとすれば、この少年は我々よりも未来から来た日本人と言うことになる。
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