第1章:邂逅

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アメリカは、戦争を早期に集結させるという名目で、サイパン島から日本本土に対する無差別爆撃を実施。 民間人に多くの死者を出して、日本の戦争継続能力を著しく削いだ。 日本首脳陣は、1945年8月6日の広島への原爆投下、8日のソ連参戦、9日の長崎への原爆投下を受けて、ポツダム宣言を受け入れる事を決意。 8月15日には無条件降伏を受け入れ、太平洋戦争は集結を迎えた。 一方、ドイツは同年の4月30日にアドルフ・ヒトラーが自殺。 5月2日にはベルリンが占領され、8日に降伏していた。 よって、第二次世界大戦は欧州で始まり、太平洋で終わりを迎えたわけだ。 この戦争では完全な総力戦となり、各国が投じた費用をあわせると、総額1兆ドルにも達すると言われている。 また、人的損害も甚大で、軍民合わせて6000万~7000万人の戦死者とその数倍の戦傷者を生み、各国、特に敗戦国の国力は著しく低下した。 簡潔に言うと、史上最大最悪の戦争だったわけだ。 そして、1939年の、今の日本は戦争へと突き進んでいる。 高野は、そこでふと気がついた。 もしかしたら、あの老人は、俺に太平洋戦争、日米開戦の回避を託したんじゃないか? そうだ。 きっと、そうなんだ。 太平洋戦争は、全体主義と、それに反する民主主義との戦争だった。 それと同時に、戦勝国でありながら全く異なる思想の下で運営されている国家である米国とソ連の対立構造を作り出してしまった。
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