第1章:邂逅

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直後、 「いやあ、草鹿君。正体不明の大型機が不時着水した、と言うもんじゃから、つい、足を運んでしまったよ」 草鹿は、もう、驚嘆を通り越して、呆れる事しか出来なかった。 その背後では、 「おいおい、マジかよ」 高野が若干引きつった笑みを漏らす。 作業員を押しのけるように旅客機に乗り込んできて、草鹿を君付けで呼ぶ軍人。 軍帽の下から除く髪は白髪交じり。 顔に刻まれた数々の皺から、年は50代後半に見える。 彼の左手をよく見ると、白い手袋の上からだが、左手の人差し指と中指が欠損しているのが分かる。 間違いない。 彼こそが、後の連合艦隊司令長官『山本 五十六』だった。 その後ろには、外で待機させていたはずの草鹿の副官がついている。 「いやあ、しかし、えらく豪華な造りじゃの。座席も柔らかそうじゃし。我が国にも2、30機欲しいくらいじゃ。あの固い椅子でトラックまで出向くのは敵わんからの」 山本は、草鹿がそうしたように座席を触って感触を確かめる。 そして、 「おお、こりゃあ、なかなかの座り心地じゃな」 心配する草鹿をよそに寛ぎ始めた。 「山本さんっ、何故こんな所に!?」 草鹿は気が気でないらしく、山本の本に駆け寄る。 「五月蠅いのぅ、草鹿君は。今日は元々、休暇の申請をしとったのじゃよ。別に、休日に儂がどうしようと勝手じゃろうて」 「しかし、いきなりは困ります。事前に連絡を通して貰わないと」 「ほぅ、儂はダメなのに、学生の社会見学は許可したのかね?」 草鹿は、それで思い出した。 この場に不穏分子が存在する事を。
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