第1章:邂逅

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「山本閣下!!」 高野はその途端、待ってました、と言わんばかりに声を上げて、ズンズンと山本へと足を進める。 草鹿と樋端は、眉間にシワを寄せて高野の行動に注目。 何かあれば、すぐに高野を捕らえられるように身構える。 山本は、状況が分からなくて、ただ、キョトンとしていた。 「お初にお目にかかります。自分は『高野 正明』と言う者です」 そして、高野は山本の目の前で頭を垂れた。 「ほう、儂を知っとるか」 山本は、少し嬉しそうな声を出す。 「はい、それはもう、よく存じ上げております。 閣下の過去から未来まで、全て」 「・・・・・・未来・・・とな?」 綻んでいた山本の顔が、急な夕立のように曇る。 そして、その言葉の意味が理解できなかった山本は、高野の背後に立つ草鹿に目配せで助けを求めた。 草鹿は、その意をくみ取り、 「実は、この高野という少年は、この旅客機と共に未来からこの時代に来た、と申しているのです」 「未来からじゃと?」 「はい、私は時間を超えて、今から約70年後の日本から参りました」 「70年後・・・、孫の孫の世代かの?」 「はい」 「・・・・・・では、この航空機は、時を遡る機械かの?」 「・・・信じてくれるのですか?」 今度は、高野が驚く番だった。 山本が簡単に高野の存在を肯定するかのような発言をしたからだ。
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