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「ふむ、『大東亜戦争史』か。面白そうな本じゃの」
山本は、表紙を捲って内容に目を通し始める。
そして、険しく顔をしかめた。
「これは、どういう意味か?」
「閣下、これが日本の未来です。
日本は2年後、米英と交戦状態に陥り、そして、敗れます」
「それは真かの?」
「それを読んでいただければ、お分かりになると思います」
「・・・ふむ」
山本は小さく唸って、再びページを捲る手を速める。
草鹿と樋端、そして高野は固唾を飲んで山本の動向を見守る。
無言の時が続いた。
高野には、時が止まったかのように感じられた。
山本の手は、ページが重なる事に速度を増していき、終盤には漫画でも読むように捲っていき。
そして、深いため息と共に、動きを止めた。
「山本さん、一体、何が記されていたんですか!?」
先に耐えきれなくなったのは、草鹿だった。
身を乗り出すようにして山本に問いかける。
「そうじゃの。彼の言う通り、この国の末路じゃった。そして、幕開けじゃったな」
「第二次世界大戦、太平洋戦争とは、やはり米英との戦争だったので?」
「うむ、凄惨極める戦争じゃったよ。君も読めば分かる」
山本は呟くように言ってから、「大東亜戦争史」を草鹿に渡した。
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