序 章:旅路

4/6
1165人が本棚に入れています
本棚に追加
/280ページ
「みんな座席につけっ!!」 高野のはただ一人、唐突に叫んだ。 彼の頭の中をよぎる様々な情報。 それらを分析し、導き出した結論。 それは、最悪の結論だった。 高高度、成層圏内における核爆発。 EMP攻撃だ。 「EMP(電磁パルス)」 高々度核爆発や雷などによって発生するパルス状の電磁波のことを指す。 核爆発の場合、強烈なガンマ線が高層大気と相互作用し、電子をはじき出すコンプトン効果という現象が起きる。 そして、地磁気の影響により地球の中心に向かう電磁波の流れを発生させる。 これが電磁パルスだ。 これの厄介な特性としては、導体と成りうるケーブル、アンテナ類に高エネルギーのサージ電流を発生させ、それらに接続された電子機器にダメージを与えること。 つまり、過剰な電流が流れて、半導体や電子回路が損傷、破壊されたり、誤作動が起きたりする。 パソコンや携帯電話は一発でアウトだし、自動車などの乗り物も制御不能になる。 飛行機の場合だとまず、コンピューター制御のエンジンが停止する。 そして、制御不能となった機体は失速し、錐揉みになって―――――。
/280ページ

最初のコメントを投稿しよう!