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「なんだかなー」
あと1ヶ月で夏休み。しかしオレにとっては地獄としか言えない。
なにせウチは父親が死んじまって母親は一日中働いている。が、それだけでは金が足りないというコトでオレも放課後バイトしてるんだが・・・・・
「なんで夏休みずっとバイトしなきゃなんねーんだよ・・・」
「文句言わないのー。お母さんだって10日くらいは休みあげるって言ってたじゃん。」
こいつは桜井久美子。
肩くらいまでのキレイな髪の毛、スタイルも良い方で、空手をしてるって豪語してるやつだ。
高校入学してから席が隣ってコトもあってか仲良くなった。
家も近いらしく毎日こうやって一緒に登校してる。
「いや・・・10日って短いだろー」
「んじゃ、その10日を信彦と蓮も誘ってたくさん遊ぼうぜー」
ニカって笑う久美子の口には八重歯が見える。
「だなー・・・」
校門まで来たトコロで
「おっはよー」
「あ、阿部先生おはよー」
と久美子があいさつする。そのまま校門を通ろうとすると
ガシッ
「・・・・・え?」
なぜか阿部先生がオレの襟を掴んで笑っている。
阿部先生は大体20代と教師の中じゃ若い方だ。
それゆえに狙ってる男性教師も多いと聞く。
髪の毛は久美子とは対象的に腰くらいまで伸ばしていて普段はポニーテールにしている。
身長はオレと変わらないで175はあるだろうな。
だがオレ自身あまり好意は持てなかった。
向こうはどう思ってるかは知らんが、何かと話しかけてくる。
初めて顔を見た時から、この女と繋がりを持つのは心が拒絶していた。
「あいさつは心のキャッチボールだよ?」
「・・・個人の自由すよ。離してください。」
襟を掴む手を握り、思い切り睨む。
「にゃは・・・まぁ君には別件で用事があるから職員室まで来てもらうけどね。ごめんね桜井さん。先に教室に行ってて。」
「あぁ?」
ドスッ
「ぐは・・・・」
久美子が腹に正拳をいれてやがる・・・・
「もー先生の言うコトは聞かなきゃっ。」
「ち・・・分かったよ」
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