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ジンジンする腹を抱えて職員室へと向かう。
ガラッ
「用事があるんで早くしてください。」
すると引き出しに手を突っ込みながら
「はいっ」
すると阿部先生はオレの前にハンカチを差し出してきた。
「以前に君が落としたんだけどさー返す機会がなくってさ。」
だが目の前のハンカチにオレは見覚えがない。
しかも機会ならあったはずだ。そんな嘘つく必要ねぇだろ・・・・ん?
ハンカチを受け取ると
桜井渚
そう書かれていた。
桜井って・・・久美子・・・・・・・・か?いや・・・これは・・
「これ、オレのじゃないすよ。」
すると間髪いれずに
「君のだよ。」
相変わらず笑っているが先ほどとは別種の笑いになってやがる。
「ここに名前がありますよ。桜井って。オレは小野勇司です。」
「あーじゃあ桜井さんの姉貴か誰かのかなー?ま、どの道君のだから。」
「意味分かんねぇって。い
い加減に・・・」
いや・・ここで言い争いしてもイラつきが増すだけだ。後でこのハンカチを姉貴のか桜井に確認する。違けりゃ捨てりゃいい。
そのまま無言でオレは職員室を急ぎ足で出た。
このハンカチがオレの運命を変えるコトを、まだオレは気付けなかった。
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