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「移動しようぜー」
そうか、次は体育だ。
俺達は更衣室に移動することになった。
体育。
『ドッヂボールか…』
きっと仲を深めようという考察だろう。まぁ、体を動かすのは嫌いではない。
「同じチームだな!」
『あぁ、鬱だよ。敵なら直ぐに狙ってやるのにな。』
佐藤はボールを頭に乗せながら近寄ってきた。そのボールを取り上げて、内野に入った。
体育は合同で行われ、隣のクラスと対立して対戦する。1クラス2チームにわかれた。
「俺達のコンビネーション見せてやろうぜ!」
俺は気づいていた。
佐藤がズボンを後ろ前に履いているのを。
なんとなく始めたドッヂボールは、意外と盛り上がりを見せた。男子ならではの、闘争心なのか、男達は敵を打ち落とすことに、快楽さえ覚えていたのだ。
女子は、バレーボールだ。隣のコートでキャッキャッと軽く試合をしていた。
「ふはは!受けてみろ、この豪速球を!!」
相手のチームの一人が、勢いをつけながらボールを投げてきた。それは一直線に俺の元へ。俺は反応が遅れて、当たると思った矢先だった。
「へっ…こんな、玉当たるかよ…」
『お前誰だよ…』
「俺は前橋太朗〈マエバシ タロウ〉だ!よろしくな」
俺の前に颯爽と現れた髷野郎は、見事ボールを受け止めたではないか。確かに学校で見たぞ、この侍もどき、髷野郎。そんな前橋太朗に挨拶を返して、自己紹介を取り敢えずした。
「おーい!そのボール俺にくれよー」
外野にいた佐藤が前橋に手を振る。前橋は頷いてから投げるフォームに入った時だった。
『!』
アイツ…上の体操着まで、反対に着てやがる!
俺は唖然として、前橋の肩を掴んだ。
「どうした、木村殿」
お前はもうその侍もどきキャラで行くんだな。登場してから全くキャラが定まって無いもんな。
『俺に投げさせてくれ』
俺はボールを受け取り、息を吐いた。
アイツは、さっきまでズボンだけが反対だった。それが今では上の体操着まで反対にしているんだ。
アイツ…佐藤はツッコミを待っている。俺はそれに答える義務がある。
『これが、俺の全力(ツッコミ)だ!』
「佐藤、服後ろ前だぞ」
「あ、ホントだ」
『ボケてないんかい!!』
「あぴぷ!」
俺は先程俺を狙った男にボールを当てた。
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