424人が本棚に入れています
本棚に追加
あれからだいぶ経って
俺はなんとか周りの変人に対する処置を学ぶ事が出来た。
要するに、ツッコミを覚えたのだ。
うん。
鬱だ。
「木村く~ん」
『・・・・・・・・・』
語尾に♥が付きそうな呼び掛けに、俺は眉間にシワを寄せて振り返った。
そこには、同じクラスの男子生徒。ちなみに、ニューハーフなどではない。なんかのノリだろう。
この男は、佐藤学〈サトウ マナブ〉。同じクラスで、席が前だったことにより、知り合った。
「ごめんね~?待ったぁ?」
『待った覚えねぇし、お前と待ち合わせした覚えがない。それから、その格好はなんだよ』
「新しいファッション?」
男子の格好は、鳩が乗った長いシルクハットに、ちょび髭。服装はどこのゾンビなのか、包帯だらけ。
「何故、上だけ紳士?って思っただろ?」
『鳩を乗っける事のどこが紳士なんだ』
「白っぽいところ?」
『灰色だけど』
「嘘!?」
ガッと頭に手をやるが、シルクハットの長さが尋常じゃないため、届かない。何度も挑戦するが、やはり届かない。
俺はその頑張りを見て、通学路を再び歩き始めた。
「馬鹿!取ってくれてもいいじゃない!」
『あふっ!!』
シルクハットの頂点(鳩付き)が、俺の頭に直撃した。
最初のコメントを投稿しよう!