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(……くそ。こんなとこで倒れちまうとはな……)
自嘲めいた笑みを顔に張り付け、背には地面の冷たさを感じた
セミが最後の大合唱をしてるのが聞こえる
ふと、周りへと目を向けると雑踏が目に入った
時が止まったのだろうか。
ただの一歩として動くことがなくなってしまった雑踏は、どこか不自然に整然としていて不気味だ
雑踏の奥、女が倒れているのが目に止まる
多分、今回の犠牲者であろう『それ』は肢体を投げ出し、動くこともままならない
『戦場』で倒れた『兵士』の最期を思うと、顔に血があがった
ざっざっざっ……
小気味の良い足音を引き連れ、大柄の男がこちらへと駆け寄ってくる
(ちくしょう)
朦朧とした意識のなか、悪態を一つ吐いた
「全くお前は……朝礼の度に貧血ってどんだけ貧弱なんだ?」
「……みーんみんみん」
そんな始業式。
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