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「え、あぁ…まぁ」
「素手で捕まえようなんざぁ熊じゃぁるまいに―…ほれっこの竿を使いな」
そう言いながら竿を渡す。
「…あ、ありがとう」
「なぁに」
――――――
それから魚を数匹捕った魚を手に喜ぶカイト。
「お前さん、この辺じゃあんま顔見ないな」
「まあ、捜し物をしにここに来ただけだから」
「捜し物?」
「とても大切な捜し物なんです」
カイトはふっと静かに川のせせらぎを聞きながら黙り込む。
「…訳ありかぁ。まあ若いうちから大変だね」
「いえ、そう言えばこの先に綺麗な紅葉の森があるんですが」
あぁ、それねと言いながら少し切なそうに話すおじさん。
「あそこはね、可哀想な護り人がいるんだよ。誰にも会えず誰とも話せずいつもいつも1人でただ孤独に1人であそこを護り続けているんだよ」
「…妖怪?」
「いやいや。違うよ、あれは正真正銘人間さ…ただまぁあんなんだと妖怪とか扱いされちまうがね」
カイトはわざといろいろ聞いてみることにしてみた。
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