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桜の花びらが舞う。
そんな中、私は高校生になった。
「みどりー!」
「あ、水乃。」
真新しい制服に身を包んで、水乃が走ってやってくる。
「おはよ!」
「おはよう、水乃。朝から元気だね。」
満面の笑みを浮かべて走ってきた水乃が弾んだ声で挨拶をする。
「だってやっと高校生だよー!念願の!」
自分の制服を私に見せつけてそういう。
「見せつけないでいいってば、同じ制服なんだから。」
私が笑いながらそう言うと、そうだねって言いながら水乃も笑った。
「高校の制服、似合ってんじゃん?」
ふと聞き慣れた声がして後ろを振り向いた。
「みどり?」
「………ううん、なんでもない。」
そう、後ろに恭哉はいない。
いや、この世界には―――いない。
「行こっか。」
私たちは歩き出した。
恭哉のいない世界を。
新しい世界を。
。
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