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みんなこっちを見て笑う恭哉の遺影を見つめて涙を流してる。
そんな人たちを私はただ黙って見つめていた。
「みどりちゃん……?」
ふと私を呼ぶ聞き慣れた声に遺影を眺める人たちから視線を外すと、恭哉のお母さんが涙目で私を見ていた。
「鈴おばちゃん……」
少し遠くにいた鈴おばちゃんは私の方に走って寄ってきた。
「みどりちゃんも来てくれたのね。」
安心したようにホッとした表情を見せた鈴おばちゃん。
そんな泣きはらした目をしているのに、どうして私を責めないの?
「鈴おばちゃん……恭哉が死んだなんて嘘だよね。あの元気な恭哉が死ぬはずないよね。」
「みどりちゃん………?」
「みんなして酷いよね。恭哉が死んだ、なんてそんな嘘つくなんて。冗談にしてはやりすぎだよね。」
「みどりちゃん……恭哉は死んだわ。これは嘘でも冗談でもないわ。しっかりして、みどりちゃん……っ!」
鈴おばちゃんが私の肩を揺さぶって今にもまた泣き出しそうな目をした。
「ホントなわけない……恭哉は死んでないよ!」
「みどりちゃんっ…!!」
私の出した大きな声に、お葬式に来ていた人が一斉にこっちを見た。
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