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裕一が手にしていたカップをテーブルに置いて、香織のカップも同じように置いた。
寄り添っていた体を起こして香織の手を取り、真っ直ぐ向き合うような体勢になる。
「どうしたの」
突然真顔になった裕一に、香織は不安になった。
「例えば、例えばなんだけど、香織が作りたい子供服、俺達の子供のために作るっていうのはどう?」
「えっ、どういう意味?」
思いもよらない提案に、香織は意味が理解できない。
「だから、世の中の子供達のために服を作るんじゃなくて、俺と香織の子供のために作ってくれないかな」
「……」
驚きすぎて声も出ない。
「一応プロポーズのつもりなんだけど……」
ただ、頬を涙だけが静かに流れた。
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