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カタカタカタカタ、ミシンの音が部屋中に響く。
「ママが遊んでくれないから公園にでも行くか」
1歳になった娘のゆうかを抱っこして、ほっぺをつつきながら裕一が呟く。
「だ~」
意味がわかっているのかいないのか、ただご機嫌なゆうかははしゃいでいる。
「もう少しで終わるから、先に行ってて」
日曜日の昼下がり、香織はミシンの前で格闘中。
公園で仲良くなったママ友に頼まれた、ベビードレスを作っている。
子供服メーカーへの就職は諦めたが、裕一との間に産まれたゆうかの服を作っていたら、公園で出会ったママ達に評判となり、注文がくるようになった。
「じゃあ、先にいってる」
出掛けて行った裕一を見送って、またミシンを走らせる。
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