15520人が本棚に入れています
本棚に追加
駆け落ち同然で結婚した両親には頼る親戚も無く、独りっ子の香織にとって初めての親戚だった。
父方の祖父母とは和解したが、香織が物心ついた頃には、すでにこの世にはいなかった。
「こんな田舎まで、わざわざありがとうございます。」
緊張しながら丁寧にお辞儀をすると、さっきまでの神妙な顔つきが一転、叔母が微笑んでいる。
「いやぁねぇ、そんな他人みたいに…。唯一の家族なのに。」
家族?久しぶりに聞く家族という言葉に顔を上げる。
「うちはね、夫婦2人なの。香織ちゃん、貴女が傍にいてくれてたら嬉しいわ。」
ドラマなんかだと、かなり迷惑がられるとか、遺産目当てだったりするところなんだけど、何だか様子が違う。
「…一緒に?」
.
最初のコメントを投稿しよう!