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「ヤス!お前へたれんなや!」
「…りょ、」
ああ…僕は何でこんなにも弱いんやろ…。
「ヤス!…ッ、」
「何よそ見しとんねん!タイ人!」
「…っごら゛ぁあ!!!タイ人ちゃうわ!れっきとした大阪府民じゃい!!」
「タイ人やろがっ!」
大親友の亮が次々と袋叩きにされてゆく。
僕と亮、2人に対して相手は5人。
けど喧嘩なんか出来ひん弱虫の僕なんか頭数にもならへんから、実質は1対5。
その割、亮は余裕じみた発言で何とか応戦しとるけど…大きくはない体は段々と弱っていってるのが分かる。
だけど…、やっぱりそれでも僕は喧嘩が怖くて何にも出来ひんまま路地裏の片隅で丸まってる。
「…ヤス!」
「おい、チビ。はよこっち来い!せやないとコイツぼろぼろにすんで?」
薄ら笑いを浮かべながら僕を見下げる相手方の同級生。
悔しい…、悔しい。
悔しくて泣き出しそうになるのに…、
なのに、どうしても。
体が動かせへん…。
「…や、す…ッ、…はっ、……しょーちゃん!!」
はっ、とした。
亮の苦しそうな声で呼ばれた懐かしい僕の名。
「……りょー、っ」
……それでも…
僕は立てなかった。
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