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「は、お前チビに見捨てられてるやん!だっさいダチ持つと大変やなぁ?」
ごめん…!
ごめん…。ごめん、ごめんなさい…。
ごめんなさい、ごめん…なさい。
「…ごめん…なさッ…」
弱虫な僕。格好良くない僕。
親友を見殺しにする僕。
僕はなんて価値の無い生き物なんやろう………。
「オラッ!!錦戸もっとキバれや!」
「が、はッ…゛…」
亮…、ッりょー……!
…僕が…弱虫やから………、
「…チッ。ったく、ドイツもッ…コイツもじゃかーしぃ奴やな…。ほんまは…っ、は、こーゆん嫌やけど…っ、しゃーないわ…」
塞ぎ込んでた世界が変わった。
亮が呟いた声に引かれ顔を上げれば、そこには鉄パイプを持った親友の姿が。
血で汚れた頬を手の甲で拭い、血を吐く姿が何かの漫画の主人公と被る。
ああ。アホみたいに格好良い。
「オラぁあッ゛!!掛かって来いや!自分らの脳天ブチ抜いたるわ!!!」
何の為にここまで強くあろうとするのだろう。別に負けたってええやん。
僕なら一回殴られて、ごめんなさい。して済ませるのに。
何で、何で、何で?
「錦戸!!道具使ってやるなんて卑怯者やなぁ?!」
「ぁあ゛?どの口が言うとんねん!!俺一人しか居らんのにハンデくらいくれてやってもええんちゃうかい?!ええから来いや!」
いつからか遠回りに見ている親友の姿は何百倍も僕より格好良かった。
けど傷付きながら、それでも勝とうとする心に僕は共感出来ない。
そう。僕にはプライドが無いんや。
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