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「―…ヤス。いつまでそーしとんねん」
「……死ぬまでや」
「…はぁ。つまらん意地張らんと家帰ろーや。はよ手当てしたいわ」
「…………ごめん、」
「まーたゴメンか?はぁ…。あのさ、ずっと思っててんけどええ機会やから今言うたるわ。お前ゴメンゴメン言い過ぎてて誠意無いで?」
「…………」
「お前はほんまに悪いって思っとるからゴメンて言うてるかも知れんけどさ。でもほんまお前のゴメンは軽い。」
ゴメンが軽い?
ゴメンて軽い言葉なん?
いや、軽くなりようが無いと思うねんけど。
……?
てか今の僕ってもしかして逆ギレ?
……最悪な人間やん。
「…、もう何でもない!はよ帰ろ!ヤスはヤスなんやから喧嘩如きでふにゃふにゃすんな!ほら立て!」
僕やから喧嘩如きでふにゃふにゃすんねん。
あ、また最悪な自分発見。
あー……もう何か不完全燃焼や…。
ズタズタになった制服を纏いながら、傷みに傷んだ体を支え僕の前を歩く亮の背中は男そのもの。
さっきの一連の続きを回想すると、鉄パイプを持った亮が余りにも本気やったから同級生達は簡単に散っていった。
言うなればそこまで本気の喧嘩ではなかったみたいで、ただの暇つぶし的な感覚やったのかも。
だけど当の本人の亮は、遊び感覚の喧嘩でも道具を持ち出した事について相当悔やんでるみたいや。
………僕がへたれやったからなのに。
まるで自分が悪いみたいな言い草に無償の優しさを感じてしまう僕は、まだまだ甘い餓鬼やと思う。
僕を必要としてくれた亮にひたすら申し訳なくて、今のところ立ち直れそうな見込みはない。
どーしてこんなにダッサイ人間なんやろ…。
怖くて前に行けない。
前に行く勇気がない。
自分にはプライドが無い。
男に生まれてきてプライドが無いなんて、結構な恥やん。
人に負けてもいいって思ってまう僕はかなりな恥知らず?
勇気の無い自分に呆れるのは、
亮の意見をちゃんと受けとめる事が出来るのは、
人に勝ちたいとプライドを持つ事が出来るのは、
いつなんやろ?
なぁ、未来の僕。
僕は胸を張って生きてますか?
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