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「亮のあほぉおー!!!!!!」
四階の廊下に響く僕の声。
誰もいない階は静まり返って、ちょっとだけ怖い。
本当に七不思議なるものが実現するのではないかという奇妙な空気感。
僕は相棒のスマホを覗いて一応時間の確認をする。
「5時9分…」
確かにこの調子で歩けば丁度良い時間かも。
けど怪談話て…。
僕そんな才能ないんやけど。
しかも高校にもなって七不思議を試すなんて、ほんまのアホは亮やんか!!
今なお亮への不服が収まらない僕やけど嫌々ながらも歩いている訳ですが。
だって命令されたんやもん。
亮の893顔に命令されたら、そりゃ従わない訳にはいかない。
…ってゆうのは嘘やけど。
ほんまは今日亮が一緒に帰れへんて言うてたから何となーく、ほな試してみよーかな?ってノリでやってきた訳ですが。
何なら願い叶えてくれはるみたいやし、だからって失敗しても悪い事は無いみたいやし。
けど亮にも試せ!って脅されたんよ?
だから仕方なく。仕方なくね。
「……着いた」
そんなこんな言い訳しながらも歩き続ければ、やっと着いた屋上への扉。
ボロくは無いけど、錆びきった隅々に年季を感じたり、人の出入りが乏しい事を感じる。
そして、時間は。
5時16分。
「……………………よし、」
第一、へたれで怖がりな僕が七不思議?
喧嘩も出来ひんのに?
…けど、亮の話を聞いとる限りでは怖い感じでは無かった。
それに所詮、噂に過ぎひん。
僕は扉に手を掛けた、
と同時。
あれ?普通屋上って鍵かかっとるよね?
ガチャ。
軽い金属製の施錠音が辺りに広がった。
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