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「…あ、いた…」
たった今疑問に思った事が即座に解決され拍子抜けしてしまう。
外への世界へ歩み出れば、やつれたコンクリートと劣化したフェンスが異様な空間を作り、それにプラス、日が傾きかけている萌黄色の空が少し寒い。
僕は思わず硬直した。
だけど、何となく後には引けない気がして背面で中途半端に口を開けた扉をきちんと閉めた。
これで僕は完全に屋上の世界へと身を賭したって事や。
「…よし、」
両頬を叩いて気合いを入れる。
噂って言い張るわりにはちゃんと用意したカレーパン。亮にはバレへんようにコソコソ購買で調達した。
やっぱり何やかんやで僕が来たかったんや…。
今更ながら本心に素直に頷いて、懐に隠し持っていたカレーパンをゆっくり添えるように自分の手前に置く。
そしてもう一度深呼吸をしてからその場で正座して話を紡ぎ始めた―…。
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