7人が本棚に入れています
本棚に追加
「大変だね~。でもへろんへろんには触らない方がいいよ。ビリッとくるよ、ビリッと」
私は立ち止まる河原さんを置いて数歩進んだ場所で、足を止めた。
「今、何て言った」
「大変だね~」
「そのあと」
「へろんへろんには触らない方がいいよ。ビリッとく」
「へろんへろん?」
河原さんの『るよ。ビリッと』と私の『へろんへろん?』が重なる。
彼女が何を言っているか、最初は理解できなかった。しかし笑顔の彼女を見つめつつ、もしかしたら河原さんはあのはんぺんが見えているのかと思った。
「あれ、見えてるの」
「へろんへろん、見えるよ~」
「へろんへろんて」
「あれの名前。本名は知らない」
本名は違うのかと考えた矢先、聞きたい事が山ほど溢れた。
「あれって一体」
「ねえ、校長室連れてってよ~」
私の質問の機会を潰し、河原さんは私の手を取り階段へと引く。
「ちょっと待っ」
「へろんへろんは何にもしないよ」
最初のコメントを投稿しよう!