へろんへろん

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「大変だね~。でもへろんへろんには触らない方がいいよ。ビリッとくるよ、ビリッと」  私は立ち止まる河原さんを置いて数歩進んだ場所で、足を止めた。 「今、何て言った」 「大変だね~」 「そのあと」 「へろんへろんには触らない方がいいよ。ビリッとく」 「へろんへろん?」  河原さんの『るよ。ビリッと』と私の『へろんへろん?』が重なる。  彼女が何を言っているか、最初は理解できなかった。しかし笑顔の彼女を見つめつつ、もしかしたら河原さんはあのはんぺんが見えているのかと思った。 「あれ、見えてるの」 「へろんへろん、見えるよ~」 「へろんへろんて」 「あれの名前。本名は知らない」  本名は違うのかと考えた矢先、聞きたい事が山ほど溢れた。 「あれって一体」 「ねえ、校長室連れてってよ~」  私の質問の機会を潰し、河原さんは私の手を取り階段へと引く。 「ちょっと待っ」 「へろんへろんは何にもしないよ」
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