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河原さんを無事校長室に送り、廊下に揺れるへろんへろんを避けながら、私は自分の教室に入り、何とか席につく事ができた。朝から疲れが体を叩く。へろんへろんはこっちだよと、口の中で言葉を転がした。
私が席につき、程なく担任の赤内(あかうち)先生が入ってきた。教卓に手をつき、皆に声をかけ静かにさせると、開けたままの扉に手招きをした。誰かを呼び込んだ様だ。
その時点で私の中に嫌な予感が噴き上げた。教師が誰かを呼び入れるこの状況は、十中八九転校生紹介しかない。
私は自然と机の下で手を合わせた。もちろんこれは、あの不可思議転校生ではありませんようにとの願いからによる。しかし同じ日に二人も転校生がいるとも思えない。
そして私の願いは、まさに脆くも崩れ去った。先生の隣で教壇に立った人物は、私を発見すると小さく手を振った。
「河原ミサキです。よろしくお願いします」
私は頭を抱え、彼女は満面の笑みを発揮した。
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