へろんへろん

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 文化祭や体育祭はまだまだ先の話だし、校舎に変化をもたらす要因が分からない。老朽化の為の塗り替えならば、何故あの様に中途半端に吹き付けたのだろうと、私は坂を上がりながら校舎の壁面に釘付けになっていた。  次々と校門を抜けていく生徒達は、それに何の疑問も生じず歩いていく。まるで薄汚れたその光景が目に入らないかの様だ。  私は校門の前で唖然としていた。口を開け、ただただ校舎を眺める。他の生徒から一見すると、私はバカみたいに佇んでいた事だろう。  ふと見上げた先に、何かが映った。それは3階の教室の窓で、そこには既に登校した3年生達が映っていたが、それとは異なり、揺れ動くものが見えた。  私の頭に浮かんだのは、大きなはんぺん。笹かまぼこ型に成形された大きなはんぺんが、窓の外に向かい振り動いている。それを思い浮かべ、校門の前で1人吹き出してしまった。丁度隣を通った男子生徒が、気持ち悪いものでも見るかの様な表情を私に投げかけていった。
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