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気を取り直し、私は昇降口へと向かった。冷静に考えると気味が悪いそれをあまり見ずに、平静を装って下駄箱に辿り着いて、上履きに履き替えた私を待っていたのは、私の教室の入口に陣を構える巨大はんぺんだった。
私は本日二度目の石化を余儀なくされ、その物体を口を開けて見ているしかなかった。
表面に光沢のある白をまとい、風に緩やかに揺れる白旗を思わせる動きで、それは私の教室の入口を塞いでいた。異質の物体を目前にした恐怖と共に、これでは教室に入れないではないかという苛立ちも沸き立ち、それでも私はそれの前で固まるしかできないでいる。
私の横をクラスメイトが通り過ぎ、何の躊躇もなくはんぺんに体当たりした。
クラスメイトは私が驚き止めに入る隙も与えない内に、そのはんぺんを透過した。避けるでもなく、退かすわけでもなく、クラスメイトは物体を通過し、教室に何事もなく入っていった。
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