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「ねえねえ」
怒り肩を叩かれる。憤怒の表情のまま、叩かれた方を見る。
「校長室って何処かなぁ。偉い人だから、高いとこにいると思ったんだけど」
満面の笑みの女の子が、対称的な面構えの私に問う。
「下」
「した?」
「下の階」
「下の階」
「校長室は下の階!」
「校長室は下の階」
何故私の言葉を反復するのだろう。苛立ちに苛立ちが重なる。
私は笑顔の女の子を置き去りにし、はんぺんを見据え再び歩き出した。すぐ傍に女の子が追歩する。
「ねえねえ」
「何?」
「校長し」
「し、た!」
私は立ち止まり、今度は女の子を見据えた。お団子頭にドアノブカバーを被せた様な、アニメや漫画の中国人の女の子がする髪型で、知らない学校の制服を着用し、私の前で輝くオーラを放たんばかりの笑顔を見せる彼女は、全く知らない顔だった。この学校の制服を着ていない所を見ると、転校生なのだろう。校長室の場所が分からないのも頷ける。
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