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押し寄せる哀しみに
流されてしまわぬように
二人きり漕ぎ出して
何処までも生きたかった
密やかな願いなど その前では無力で
ささやかな呟きも掻き消されてしまうなら
泣かない心で終わらせましょう
膨らよ 冷たい祈りに変われ
緋色の花弁染め上げましょう
ほら虚無が飛来する 静かに舞い降りる
前の世で決められた
血の運命知っていたけど
あの人の約束をいつまでも守りたかった
柔肌に喰い込んだ蛭巻の痛みさえ
また花が咲く度に忘れさせてくれるから
泣かない心で終わらせましょう
こんなに綺麗な刹那になって
緋色の花弁 染め上げましょう
ほら甘美なてのひらが手招くそのほうへ
開け放たれよ 底の国
連なり来たれ 底の闇
さっきまで震えてた 睫毛も 黒髪も
不思議ね もう何も感じない程に
泣かない心で終わらせましょう
貫く降魔の嵐の中で
緋色の花弁 眠らせましょう
ほら虚無が飛来する 静かに瞳を閉じる
眠れ眠れ緋の華よ
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