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そんな硝子細工の姫君が、こちら。
桃色のくせっ毛をシンプルにまとめ、俗に言う馬の尻尾(ポニーテール)にしているのだが、
王侯貴族がこのような洒落っ気のない、平民の中でも毎日あくせく汗水垂らして働いている女がするような髪型をしているという事は普通ではない。
皆、数時間かけてでも複雑な編み込みを施したり、髪飾りを重ね付けてずっしりと重たくなった頭を見せびらかせているものである。
しかし、この姫君そういった“面倒”で“動きにくい”“無駄”な事が大嫌いだった。
幾度となく教育係や髪結いに諭されたが、言われれば言われるほどにイヤでイヤでたまらなくなった!
そして、その高く結った髪をぶんっと振って
ドスの効いた声で言い放った。
「よくまぁ飽きも懲りもせず、同じ事を繰り返すわねアナタ達」
「さようでございますね…と言われましても、こればかりは国王様、お父上のご指示でございますから」
「それも毎回聞いてる」
「それだけ、シェリール様のご成長に期待されているという…」
「そ、れ、も。毎回聞いてる」
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