第一章:刀

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手が吸い込まれるように向かって古びたそれを手に取った。 そしてパラパラと軽く読み始める。 「……父さん」 本には父が書いた字が事細かに記されていた。 それは――― 「―――っ!!」 急にアルクは血相を変えて家を走って出て行った。 集会所の一室ではまだ村長と村の重鎮たちが話し合っていた。 「村の守人であったゼルムが死ぬなんて……。早急に新たな守人を見つけねば」 「ですが村長、現段階で守人になろうと言う者が――」 その時、入口の扉がバンっと開き、アルクが肩で息をする姿が現れた。 「――村長さんっ!!」 「どうした?!アルク?!そんな血相を変えて」 「お願いします!僕に……俺に父さんの仕事を継がせてください!!」 「なに?!アルクがゼルムの代わりに守人を?!」 「お願いします!」 「だが守人は命がけだぞ?ましてそなたみたいな子供が」 「覚悟は出来ています! 必ずみんなを守ります!」 「しかし……」 「お願いします!」 アルクの真っ赤な目が村長の目を真っ直ぐに見続ける。 「…………わかった。皆のもので話し合う」 「ありがとうございます!」
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