小さな守人

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――五年後 青々と茂る木々が集まって出来た森の中に、一カ所だけ明らかに人の手によって耕した土地があった。 その土地の土からは柔らかそうな草が一定の間隔を保ちながら天に向かって生えている。 そしてその場には草を歯にくわえる大きな熊と、その熊の前で右腰に鞘を二本携えた黒髪の少年がいた。 少年は低い声、唸るような声を森に響かせた。 「おいっ、この畑は村のみんなで作ったものだ。覚悟は出来てんだろうな?」 「グルルル」 熊は立ち上がり鋭い鉤爪の付いた両手を上げた。 「魔物に言っても無駄か……」 少年は頭を掻く仕草をする。 「グルガァァァァ!!」 吠えると同時に熊は腕を少年に向けて振り落とした。
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