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放課後、夕日が射し込む教室
僕は、ひとりで涙を流す
「っ・・・、うう・・・っ・・・」
それは、先生がいなくなる悲しみの涙なのか
なにもできなかった自分の
悔しさの涙なのか
それはわからなかった
とにかく、もう会えないことは
目に見えていたから
苦しくて、切なくて
「っ・・・すきだよ・・・せんせ・・・っ」
ああ、ひとりなら言えるのに・・・臆病者
「誰が、好きなの?」
「!・・・山田、先生・・・」
急に背中から抱き締められて
どうしようもなくて
ただ、背中から伝わる熱が
堪らなく愛おしくて
「誰が、好き・・・?」
「・・・先生が、好き・・・/」
「ね、知ってた?
俺は、裕翔が好き。」
「え・・・?」
「好き、裕翔・・・」
熱っぽい声で、囁かれて
なんだか、変な気分
「せんせ・・・、でも
これって、いけない事・・・だよね?」
「まあ、実習生だけど
一応、教師と生徒だもんな。
・・・でも俺、今日で実習終わったから
今は、ひとりの男なんだよ?」
「じゃあ僕は、先生のこと
山田涼介として、見ていいの・・・?」
「ああ、俺もお前のこと
中島裕翔として見てる。」
「山田せんせ・・・っ!/」
くる、と正面を向かされて
唇に熱い感覚がした
そっと、離れて
「先生じゃないよ、俺は
涼介、って呼んで?」
「/・・・、涼介・・・っ」
「うん、それでいい。」
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