プロローグ

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昼時とは言え、平日だからだろうか、店内にはやる気がなさそうな大学生風の男性店員と、白髪交じりの中年女性店員の二人だけだった。 一番奥の席に着き、メニューを開くとすぐに男性店員がメニューを聞きに来たので、セットメニューを2つ頼み、セブンスター(タバコの銘柄)に火を付けた。 「しかしさぁ…よくこの寒い中、川沿いでゴルフなんて出来るよね」 醤油やソースの小瓶をラベルが正面にくる様に回しながら、しかめっ面で言った。 「寒くても暑くても、好きな人には関係ないのよ。むしろ好きになるとね、天候が悪かったりの悪条件下でもやりたくなるものなのよ。」 昔を思い出す様に言った。 「やった事あんの?」 不思議そうに男の子は首を傾げた。 「ゴルフはやった事無いけどね、お母さん昔はキャディーった仕事をしてたのよ。キャディーってわかる?」 氷水を一口飲み、男の子は 「あれでしょ?ゴルフする人の後ろを付いて行く人だよね?」 と、答えた。
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