プロローグ

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「あれ?こっちじゃなかったっけ?」 砂庭に敷かれた灰色の飛び石の上を一つ飛ばしで歩きながら、齢15~16だろうか、スラっとした細身の男の子はすっとんきょうな声を出した。 「ほら、この前言ったでしょ?元の場所がいっぱいだったから、裏の道の向かい側になったって」 少しアゴをあげ、裏の方に向けながら言った。 暦(こよみ)ではもう春になると言うのに、絵に描いたような三寒四温の気候が続き、ここ一ヶ月ぐらいは毎週末になると特に寒い。 寒さを予想してちょっと厚手のコートを着て来た。 それでも肌を刺す冷気はとても冷たく、マフラーと手袋を持って来なかった事を少し後悔していた。
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