23338人が本棚に入れています
本棚に追加
みほちん! って……ん? あれ?
「きゃぁぁぁぁぁ!」
グラリと傾く体に、何とか手摺を飛び越える。
「ちゃ、着地成功!」
「……は?」
怒りのマークが語尾に付いてるんじゃないかと思うくらいの低い声がする。
恐る恐る顔を上げると、私に倒され尻餅をついた市ノ瀬君が、汚れた服を払いながらゆっくりと立ち上がり睨み付けた。
「うわ!……ご、ご、ごめんなさい……」
慌てて謝るが、彼の視線と眉間のシワは戻らない。
「お前……何?」
「わ、私……。みほちんを慰めようと思ったらつい身を乗り出し過ぎちゃって。
覗き見するつもりはなかったんです。冷たい人だなとは思ったけど、悪気も全然ないんです! 本当にごめんなさい!」
一瞬の間。そしてひやっと冷やっとする空気と共に、頭を下げる私の手首を強く握られる。
「えっ?」
そのまま持ち上げられ、市ノ瀬君の顔の前で止まる。指先がすっとした顎に触れそうになり、心臓がドクンと跳ね上がった。
最初のコメントを投稿しよう!