こぼれ落ちたメロディー

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「りょーすけ、寒くないの?」 彼は毎回決まって窓側の席に座る。この寒い季節に。僕からしたら全く理解に困る行動だ。 おまけに彼はセーターは着てもブレザーを脱ぐような人なので、何の防寒対策にもなっていない。少し見下した目で見ると彼はフフっと笑って手を差し出した。 差し出された手にカイロをのせる。これもお決まりのパターンだ。 「マフラー、何でしないの?」 これも前々から疑問に思っていた事だ。彼のスクールバックの持ち手の部分には赤いチェックのマフラーが飾りのようにつけられている。夏でも冬でも。 「大切なもんだから、これは特別なの。」 「分かった!圭人からのプレゼントなんでしょ!」 「そんなんじゃねぇよ(笑)」 圭人というのは僕と同じクラスのまあなんとも優しくてふんわりした男だ。普段同じグループでは行動したりはしないのだが、クラス委員になった時に僕の想い人(現在は既に彼氏なんだけど)と知り合いだったらしく最近仲良くなった。 涼介と圭人は幼なじみらしい。彼と仲良くなったのも、クラス委員である圭人と僕の彼氏を一緒に待つ為だった。 _
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