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駅から歩いて15分の距離に一軒のマンションがあった。
……言ってみれば超高層マンション。
駅からそれなりに近いし、高い物件なのだろうということは容易に想像できた。
彼女がそんな所に独り暮らしをしていることは、特に驚く部分ではない。
彼女はぼくとはさっぱり違う、天と地ほどに差があるのだから。
「…………」
とはいえやはりこの存在感には沈黙せざるを得ない。
圧倒的な場違い感が、ぼくのすべてを支配する。有り体に言えば、一歩も動けなくなってしまったのだ。
臆病なハートである。
しかしそんなことをいっている場合ではない。
ここにいかなければ住むところがないのだから。
勇気をだし、自動ドアに向かって進む。
震える足を奮い立たせ、一歩、また一歩と…。
ガラス製の開閉扉が開き、中から冷風が届いた。
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