夏の再会プロローグ

7/18
前へ
/63ページ
次へ
流石だ。 おもてなしの心をわかってらっしゃる。そう、熱風の出迎えなど要らない! この涼しさこそ、ぼくの求めていた歓迎の印なのだ! ……住人であろう人に変な目で見られた。 軽く咳払いをして、緋彩から聞いていた部屋の番号をダイアル盤に入力する。 ほどなくして。 『はい、緋彩です』 という声が機械から発せられた。 「あ、緋彩? ぼくだよ。着いたから来てみたんだけど――」 『ひゃうっ! ぼ、ボクボク詐欺ならお断りです!』 「いやいや、久しぶりとはいえその反応は冷たくない?」 『あ、もしかしてルカ?』 「あ、えーっと、うん」 なぜか彼女はぼくのことをルカと呼ぶ。 名前に入ってるわけでも、ましてや本名でもない。 一度聞いてみようかな。
/63ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加