始まりは…

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僕の名前は翔。 名字は嫌いだから内緒! 年はまだまだ若い24歳。学生の頃は、けっこう名の知れたバンドのギターしていた。 普通の企業に就職した今は関係ないけどね(笑) 女性はどうも苦手で彼女は勿論いない。 「はぁ…こんな寒い日に会社に行くとか…」 ため息をついた僕は俯いたまま歩いていて、とんでもない物を見つけてしまった… 「せっかく今日は遅刻じゃないと思ったのにな」 これじゃあ今日も社長にお説教されちゃうね(笑) (にゃーにゃー) 抱き抱えたダンボールの中身を見て苦笑した。 この子猫は道端に捨てられていて、おまけに目を怪我していた。 「大丈夫?もうすぐ着くから頑張れよっチビ!」 取り合えずこんな時には獣医に行こう! 確かこの辺にあったはず……… これで会社には完全に遅刻だ。 だけど今はそんな事どうでもいいや…! [先生、ありがとうございました!さぁリボンちゃん、帰りましょうねっ] 『お大事に』 俺の名前は麻緒。 名字は忘れた 年は今年で22歳。職業は獣医。これでも近所では有名な方なんだけどね。 彼女はいない。なんだかめんどくさそうだから、いなくていい そして今日は朝から仕事が忙しい。 漸く満席だった待合室から人がいなくなった。 『はぁ…さすがに疲れたかも』 長めの前髪をかき上げながらため息をつくと、今度は息を切らせてダンボールを抱えた男が、勢いよく登場してきた。 「この子を助けてあげて!」 『怪我ですか…お名前は?』 「えっと、僕が翔で…この子は………ちび!」 『この子は捨てられていたんですか…?』 ダンボールの中から子猫を抱き上げ、怪我の様子を伺いながら聞いた。 「…さっき見つけて、怪我してたから…ちびの怪我は治りますか?」
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