始まりは…

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この人…会社に行かなくても大丈夫なのかな… 服装はあきらかにスーツだし、普通の人はもう通勤してる時間帯だし… 自分の事よりも、さっき出会ったばかりの子猫を優先するとか 『良かったねチビ。』 「あの…助かりますか?」 『助けますよ』 君はこの人に拾ってもらえてラッキーだったね。 薬で眠りにつかせたチビを撫でながらそう感じた。 (翔side) 「ありがとうございます」 良かった…これでチビは大丈夫だな… 会社を犠牲にしてきた甲斐があった………って!! そうだ会社っ!!! 「あぁ!!!」 『え?』 「あっごめんなさい…実は僕、通勤途中だったの忘れてて…」 『チビなら俺が見てますから、大丈夫ですよ』 今から急いでももう遅い。 あはは……感謝しろよ!チビっ! 「ごめんなさい、行ってきます…っ」 『はい、気をつけて』 「あのっ!名前は…」 『にこにこ病院です』 「ちがっ!………また来ます」 『はい、待ってます』 もう…あの先生は分かっているのか、いないのか…… そもそも、男に興味を持ってどうするんだ自分っ いくら女性が苦手でも、僕はホモじゃなーいっ!!! ってか今はまじで急がなきゃ! (麻緒side) 『チビ、お前は愛されてるんだね』 あの人がチビと一緒に置いて行ったダンボール箱の中を見て、思わず笑ってしまった。 白い高そうなコート。それにはチビの黒い毛がよく目立つ。 きっとここへ来る途中に、あの人が寒いと思ってチビを包んで来たんだね、だからあの人、あんなに薄着だったのか…………納得。
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