『あたし、アイドルになる！』

あたしのオモイビト。

それなのに。

最近の遼は、アイドルオタクと化してしまった。

学校でも身の回りをアイドルグッズで固めてるから、女子にはドン引きされている。

高い身長にさらっさらの黒髪、きりっとした二重の目…。

悔しいけど遼はなかなか整った容姿をしているだけに、オタクなのは実にもったいない。

まぁあたしにとっちゃ、ライバルが減るので好都合だけどね、ふふふ…

思わずニヤリとする。

「なんだよ、ふふふって。気持ちわるっ」

その言葉と同時に何かが飛んでくる。

…パシッ

よし、ナイスキャッチ。
けど、なんだこれ…？

人差し指と中指で器用にキャッチした薄っぺらい物体を見ると、中で可愛いらしい女の子がウィンクをしている。

「ねぇ遼、これ誰？てか何？」

遼はあたしの指に挟まる写真を見る。