15人が本棚に入れています
本棚に追加
「出ろ。王が面会を御所望だ」
鉄格子の前に、1人の男が現れる。
看守らしきその男は、鉄格子の扉をあけると言った。
「………」
敢えて言葉には対応せず、無言で立ち上がる。
いくら魔人類の所為でこんな状況があったとしても、そう思っていてもそれはあくまで仮説でしか無い。
それに、それを信用し切るほど俺は莫迦では無いつもりだ。
「此方だ。ついて来い」
細心の警戒を払って、俺は男の後を黙って追いかけた。
………†……†……†………
豪奢な造りの廊下を歩くこと数分、一際大きい扉の前に出た。
扉の両サイドに衛兵らしき人がいることから、此処に王がいると簡単に推測できる。
「ここが謁見の間だ。
態度次第はその首、飛んでいると思え」
男は俺に脅しを含んだ釘を刺すと、扉を4回ノックした。
「例の男を連れて参りました」
「通しなさい」
中から聞こえる、よく通った声を合図に、予めスタンバイしていた衛兵が扉をあける。
そこには、いかにもといった感じの格好をした王が玉座に座っていた。
部屋のサイドには軽い武装をしている兵がずらりと、王の後ろには大臣らしき老人が二人立っている。
「入れ」
男は俺に小さく呟くと、一礼して去って行った。
初めて見る光景に気圧されつつも、部屋の中心まで歩みを進めた。
最初のコメントを投稿しよう!