異世界へ立つ

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「…先ずは…」 アリエルの安全確保が優先事項だな。 神の遣いとはいえ、この人数相手だと危ないだろうし。 何より、大事な大事な僕に怪我なんてさせたくない。 「つー事で…よっと」 「キャッ!!?」 アリエルの肩を支え、膝をかかえ抱き上げる。所謂お姫様抱っこだ。 可愛い悲鳴をあげたアリエルは耳まで真っ赤でした。可愛い。 「ちょっと我慢してろよ、アリエル」 そう言い、俺は能力を使い空間の裂け目…スキマを作る。 「えっ?ちょっ、凪様っ、キャッ」 未だに戸惑っているアリエルを余所に、作ったスキマに向かってアリエルを投げ入れた。 「多分、5分もあれば終わる。 ご主人様からの命令だ、そこでじっとしてろよ」 じっとしてろという旨を伝え、スキマを閉じる。 何か言いたげな、不満そうな顔をしたアリエルが居たがそれはスルーの方向で。 「さぁて、下準備も済んだ事だし…。 次は、ゴミの掃除をしなきゃ、だな」 振り向くと、そこには大振りの剣を振りかざしている男が。 ヤバい、と一瞬思ったものの、直ぐにある異変に気付く。 (動きが……遅い?) そう、相手の動きが遅い。 いや、男が遅く動いている訳ではないのだが。 正確には、男の動きが遅く見えるのだ。 幾分苦戦を強いられるかとは思ったが、これなら簡単に勝てる。 俺は、降り下ろされた大剣を往なし、男の鳩尾目掛けて全力でパンチを放った。
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