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「………という訳だ」
現在、俺はアリエルに現状を説明している。
薄暗く何も無いスキマに長いこと放置された末、やっと解放されたら今度は独房なんだからそりゃ文句の1つもあるだろう。
だから、出来るだけ懇切丁寧に説明してやった。
「…なるほど、大体把握しました。
でも、それって不自然じゃないですか?」
一通り話し終えたところで、アリエルはそう言った。
うん、そうなんだよ。何か腑に落ちない感じ。
「ただの勘違いだったと、そう言われればそれまでですが…」
「出会い頭に俺を気絶させる必要があったか、だ」
警戒していたにしても、流石に素性も聞かず気絶させる、なんて事は無いだろ。
過剰な警戒心と神様の話から察するに…
「「魔人類…」」
アリエルも俺も、どうやら同じ事を考えていたらしい。
いやぁ、ぶっちゃけそこ以外は考えつかないんだけどね。
「ま、これはあくまでも推測の話だが…
それはあいつらが話してくれるでしょ」
「凪様、あいつらって…」
アリエルがなんとも不思議そうな顔で訪ねてくる。
「そのうち分かる」
と、軽くあしらって外の音に耳を傾ける。
なるほど、ここは文字通り独房なのだろう。
周りから他の気配もしなければ衣擦れの音1つさえしなかった。
だからだろう、ここまではっきりとした足音が聴こえるのは。
段々と近くなってくる足音をBGMに、俺はまたアリエルをスキマに放り込んだ。
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