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置き手紙を見た祖父は心配して軽トラックで別の山を捜しに行ったが、祖母はというと捜す云々の前にひっくり返ってしまった。優輝をひどく溺愛していたせいだろう。
明良はその看病を任されて昼過ぎまで祖母のふとんのそばにいた。しかし、目覚めた祖母に優輝を捜しておくれと頼まれ、それで明良も優輝を捜すべく、祖父が向かったのとは別の、家から程近い山に入ったのである。
考えてみれば軽トラックを出すまでもない。交通の便が悪い山に囲まれた田舎で、子どもの移動手段といえば自転車か徒歩がほとんどだ。祖父母の家にある自転車は大人用だから、優輝が乗っても足は着かない。案の定小屋に置いてあったのを確認して、明良は水筒を首に掛けて帽子を被り、手近な山に入ったのである。
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