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場所は変わり。
ある建物の部屋の一室に一組の男女がいた。
「ついに……ついに勇者に対抗できる唯一の御方が来るのね。 」
女はやや緊張で声を震わせながら言葉を発する。
「ああ、どんな奴だろうな、俺は強い奴が来てくれればそれでいいかな。 」
そんな会話を交わしつつ、二人は部屋の中央にある魔法陣に魔力を込める。
「さて、これで俺達二人は立派な犯罪者だな。」
男は皮肉るようにニヤリと嘲笑(わら)いながら冗談を吐く。
「元より似たようなもんでしょ。私達、むしろ犯罪者より扱いが酷いんじゃない? 」
「そりゃごもっとも。…………………さて、お喋りはここまでかな、来るぞ。」
男がそう言った途端、魔法陣の光が急激に輝きを増す。
次第に輝きも収まり二人は同時に目を開く。
そして────。二人が目にしたものは────。
「死んでる………?」
「まさか、死んではいないだろう。ただな……」
そう言う男と女の目線の先には、血塗れになった男、年は高校生くらいだろうか、そう、それはまさにトラックにぶち当たったばかりの裕也の事である。
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