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「こ、これが魔王だって言うのか?この、血塗れで倒れている、今にも死にそうな男が………?」
男の顔は驚愕で染まっていた、それもそのはずだ、今朝に突然現れた、予言の勇者に対抗できる、唯一の男がこの魔法陣の中央で血塗れで倒れているこの男だと、言うのだから。
「そ、それはそうなんじゃないの?それとも、私達がヘマして転移の際に怪我でも……。」
続けて女も恐る恐る言葉を発する、自分達があれだけ長年準備してきて、そんなことはない、と言う確信はあるが、もしドジを踏んでいて魔王を誤って殺してしまった、なんて事になってしまったら笑い事にもならないのである。
しかし、女はふと在ることに気づく。よく見れば傷口からドクドクと血が出続けてはいるが、血塗れの魔王と思わしき男の内に流れる魔力が際限なく上がり続けていることに。
「ふ………ふふ……ふふふふふ。うふふふふ、あははははははははは!」
暫く、女は呆然と魔力が上がり続けている様子を見ていたが自分の持っている魔力をいとも簡単に越えて行くのをみて、遂に笑いを堪えることができなくなる。
「お、おい、急にどうしたんだよ!まさか本当俺等がヘマしたってことじゃねぇだろうな!」
半場狂乱してる女の姿に更に動揺を隠しきれなくなるもう一人の男、彼も落ち着いて、魔法陣の中央の男を観察すれば、女と同じで笑いが止まらなくなっていただろうが。
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