もうひとつの空

2/4
前へ
/22ページ
次へ
聞こえるのは竹の葉が風になびき、すれる音だけ・・・。 そんな静寂の中に1人たたずむ少女がいた。 月に照らされ輝きを放つ銀色の髪を持つ彼女は、夜空のように漆黒の瞳で空を見上げていた。 (今晩は三日月だというのにきれいね・・・憎いくらいに。星の輝きを奪って・・・) そのとき、ガサッという音がした。自然と構える少女。 (誰か、来る) 「こんなところで一体何をしているのですか?」 「あ、師匠」 師匠。彼女にそう呼ばれた彼は、漆黒の髪に瞳を持ち、赤い中国服に身を包んだ"赤ん坊"だった。 彼は茂みから出てくると、彼女の近くにあった丸みを帯びた岩に腰かけた。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

72人が本棚に入れています
本棚に追加