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「師匠、ボクは一体何なのでしょうか」
「何、とは?」
「ボクはよく《ニンゲン》に必要とされてきました。だけど、彼らが求めていたのは、ボクに埋められた゛チカラ゛、ボク自身はその噐でしかない・・・」
段々と彼女の顔が歪んでいく。
「ボク自身は・・・、」
「ボク自身は必要とされてな・・・
「そんなことを思っているのですか!!」
彼女が言い終わる前に師匠は声を大きくし、静止させた。
そして、彼女の視線の真正面に立ち、
「確かに、貴女を道具として見る人は大勢いるでしょう」
「しかし、貴女を1つの尊い命としてみる人もいることを忘れてはいけません」
彼女の目から一筋の光がこぼれ始める。
「わかりましたね?」
「・・・は、はいっ・・・!」
溢れるものを押さえていたが、返答するまでが限界だったようだ。彼女の涙は、月明かりに照らされ、酷く綺麗だった。
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