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「はっ!」
勢いある声が竹林に響く。
その声の主はというと・・・、
「はぁっ!」
「そんな蹴りでは当たりませんよ」
どうやら誰かと一緒に取っ組み合いをしているみたいだ。
(無理に決まってるじゃないですか。風(フォン)師匠は名高い武道大会を総ナメしている、対してボクは若輩者だし・・・)
否、風という名の師匠と修業中だ。
「はぁっ!」
彼女が蹴りを繰り出す度に、彼女の銀色の髪が宙を舞う。
対して顔をしかめる風師匠。
「先ほどより動きにキレがないですね。弱腰はいけませんよ!」
瞬間、髪ではなく彼女自身が宙を舞った。風師匠が蹴りを繰り出したのだ。
彼女は修業はちゃんとしているので体勢を直し、着地した。もちろんのこと無傷だ。
「結構きましたよ・・・」
「それは悠、貴女のせいですよ」
「・・・すみません」
「さぁ、続けますよ」
かくして、格闘技の修業は日暮れまで続いたという。
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